多くの海外著名アーティストとも共演をはたす、日本を代表するアンビエントアーティスト、Tomotsugu Nakamura。
本作は一貫してギター、ピアノ、フィールドレコーディングの断片が折り重なり、微妙なバランスで調和している。ある場面ではアルペジオでうっとりとするメロディを構築し、またある場面では、それぞれの楽器が嬉しそうに、非音楽的な音の断片を鳴らしている。それぞれの成分比率が美しい。
都市と自然・・・人はそれぞれの微妙なバランスの中でしか豊かに生きることはできない。自然災害や疫病に対し都市を整備し生きてく。はたまた、木々が揺れ、四季が移ろうことに心の充足を覚え、生きがいを見出す。
その二項対立は、音楽と非音楽、と置き換えられるかもしれない。調和の取れた音楽的な側面と、音符には表せない混沌とした非音楽的な側面。それぞれの成分をいい塩梅で調合することがアンビエントアーティストのとても重要なスキルの一つであると考えている。
本作は、そのバランスが美しく、我々の身体全体に深い安寧をもたらす。Clear vinyl 300 limited。(店主)