“沈黙の次に最も美しい音”を哲学とするヨーロッパを代表する名門ジャズレーベルECM。テルアビブ出身のサックス奏者、Oded TzurによるECM2作目となる2022年リリース。180g重量盤。
作者のオリジナリティはインドの古典音楽にあり、優雅なラーガの響きをジャズの方式に取り入れている。しかし、そこに異様な響きは一切なく、伝統を尊重しつつも枠組みを広げようと試みる、優れたコンテンポラリー・ジャズとして昇華されている。
バンドの構成は前作「Here Be Dragons」と同様、ピアニストNitai Hershkovits、ダブルベースPetros Klampanis、ドラムスJohnathan Blake。特にA2「Noam」では自由に情緒的に、時折、情熱的にOded Tzurのサックスが舞う。物思いに耽るような静けさもあれば、豊かなボキャブラリーで雄弁に語る瞬間もある。また、その熱量に応えるメンバーとの呼吸の一致が胸を打つ。
(店主)
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