24年2月リリースの新作をストック。フランスが誇るアンビエント/ ニューエイジの巨匠、Ariel Kalma。彼は多作でどこから手をつけたらいいか難しい。例えば、RVNG Intl.の名シリーズ 「FRKWYS」への参加作品や、Sarah Davachiとの共演作品は面白い。70年代以降、彼は世界中を巡り、東洋やアフリカの音楽を吸収しながら、シンセなどの電子音楽との融合を試みた先駆者と言える。そんな彼をリスペクトし、本作で共演が叶ったのがJeremiah Chiu と Marta Sofia Honer。前作「Recordings from the Åland Islands (’22)」は当店でも人気盤。伸びやかなシンセや丁寧なFiald rec. が非常に美しい意欲作だった。
制作のスタイルとしてはまず、即興演奏。シンセ/ 民族楽器などを用いた、ジャズ的なセッションは見事。そして、コラージュの手法も目立つ。森の中を想起するFiald rec.の音色や、Ariel Kalmaのヴォイスメモ。また、数十年も昔の録音音源も混じっているという。それらは、様々な環境/ 時系列が交差し、魅惑的な像を生み出す。その像がもたらす幻想性はジョン・ハッセルが提示した世界観(いわゆる“第四世界”)が根っこにあるのだろう。
(店主)
#Ambient #NewAge