待望の再発盤をストック。ポスト・ニューエイジの中心人物、スペインの巨匠、Suso Saiz。アムステルダムの有名レーベル、Music From Memoryからは数多く作品を残す。例えば、Suzanne KraftやChristian Fenneszとの共作の他、 レーベルの柱として重要な存在となっている。
あえて過去作と比較すると「Nothing Is Objective (’19)」の延長線上と言っていいのかもしれない。しかし、よりメディテーティブな部分を抽出し、広げていった印象を受ける。音の感触に角はなく、まろみを帯びている。(「Nothing Is〜」ではよりギターの弦の感触が目立っていた。)そのまろみには品と艶があり、チープでない。音は十分に長く持続し、過剰な脚色はない。にもかかわらず、単調でなく、飽きは来ない。音色の選び方、配置の方法に卓越したスキルが必要だ。
作者は「音の波動の連鎖」をコンセプトにしたという。一つのモジュールが振動する。他のモジュールに伝搬する。その無限の共振が美しいシンフォニーを生む。なるほど、作品を聴きながらイメージする像に合っている。互いが共鳴するコミュニティを抽象化したような美しさだ。
(店主)

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