アンビエント・ミュージックはここから始まった。リリースは1978年。公式の再発盤。エリック・サティ「家具の音楽」から着想を得て、環境音楽、という概念を世に提唱した。本作の誕生以降、様々な音楽家がその概念に影響を受け、数多の新たな名作が世に生み出されていった。
作者はタイトルの通り、空港にとって最適な音楽、を追求している。空港には、多様な人々の、様々な時間が交差する。食事や会話に没頭する人々、うたた寝する人や自由に泣く赤ん坊・・・。コンサートホールとは対照的に、音楽に無関心な人々をも、聴者にしたことが本作の功績と言える。
偉大な名作に並んで恐縮だが、<春の雨>でカフェを併設した意図はそこにある。多様性だ。あらゆる人々の、多様な人生のために、音楽は存在するのだと、名作を前にして改めて思う。
(店主)