ヴェイパーウェイヴの代表的アーティスト、オランダの<猫 シ Corp.> 。サンプリングを中心とした技法でLo-Fiな質感が印象的。サンプリング元は多様で90年代のイメージなのだろうか、様々なモチーフが断片的に散りばめられている。消費社会への風刺、過去のインターネット社会とその忘却、9.11の断絶….。通底するのは80年代90年代へのノスタルジア。
人は忘れられない景色を自分の中に持ち続けていると強くなれる。懐古主義と言われても現実逃避と言われても、誰も踏み入れられないオリジナルなイメージをそっと大切にしていたい。<猫 シ Corp.> の作品ははそんなことを再認識させてくれる。
ヴェイパーウェイヴの中でもリラックスして聞き流すことができるアンビエントの文脈で捉えても興味深い一枚。
(店主)