前作「Help」やRosie Loweとの共作「Son」が各方面で評価の高かったDuval Timothy。
今作は美しく跳ねるピアノの旋律に様々な質感のコラージュの断片が見事に融合し、前作までのピアノを主としたサウンドコラージュの技法がより洗練されたものになっている。
この作品の力強さはジャンルでカテゴライズすることを野暮だと一蹴するような無邪気さだ。前衛とポップス、具体と抽象、保守と革新・・・あらゆる閾値を縦横無尽に軽々と飛び越えている。
そして、その力強さと共存するのは「春の訪れ」の感触だ。新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込む。血液が体の隅々まで行き渡る。視界はすーっと開け、新たなイマジネーションが訪れる。(店主)