アンビエントについて奥行きを持って理解するために、映画音楽について考えを巡らすことが重要になるのではないか。映画音楽を語る上で避けて通れないのがイタリアの巨匠、エンニオ・モリコーネ。「ニュー・シネマ・パラダイス」「Once Upon a Time in America」「海の上のピアニスト」など名作映画にモリコーネあり。特にジュゼッペ・トルナトーレの作品は、ほぼ全てモリコーネが音楽を担うなど、信頼は厚かった。また、坂本龍一もモリコーネを敬愛し、同時代的に血肉にしていたという。モリコーネは2020年にこの世を去るまで、生涯を通じて映画音楽に情熱を注いだ。
本作は1969年、フランス映画の名作「シシリアン(Le Clan des Siciliens)」のサウンド・トラック。壮大な、しかし大味ではなく、人間模様の機微を丁寧に掬い取るようなオーケストラレーション、これぞモリコーネ。では、背景の音楽として機能しながら、独立した音楽作品として楽しむことができるのはなぜだろう。それは、物語のテーマを音楽への翻訳(もしくは抽象化や比喩表現)するスキルが突出しているからではないだろうか。そのある種の変換作業がこぼさず完璧に行われた場合、物語に対するノイズはなくなる(背景音楽として成立する)のと同時に、独立した音楽作品に必要なモチーフが生まれるのだろう。
本作は、一匹狼の佇まいを描くクールなクライム映画を、美しく象徴する音楽だ。
(店主)
#Ambient #Soundtrack

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