オランダのマルチ奏者、Felbm。当店でも人気盤であった過去作「TAPE 1-4」「ELEMENTS OF NATURE」を経て徐々に日本国内でも評価を高めている。
本作は過去作のような即興性の高い、短いスケッチの構成と異なり（それはそれでカジュアルな小気味よさがあった。）、全曲38分がシームレスに繋がっている。A面B面共にロックド・グルーヴ仕様で、針が回る限り音楽は止まらない。また、A面からB面、B面からA面に盤面を変えたときにそれぞれ音に繋がりがある。非常にコンセプチャルな作品だ。Felbmが”the never-ending metamorphosis of matter”（物事の終わりのない変容）をテーマに掲げていることからも指針に一貫性があり興味深い。
作品の方向性としてはエリック・サティ、ララージの名前を挙げており、大枠としてミニマルかつメディテーティブな印象を受ける。フルート、サックス、トランペットなどのアコースティック楽器。テープループや鳥のさえずり、風鈴のようなサンプリング。それらが流れるように折り重なり、移り変わる。そんなジャジーでメロウなアンビエント作品に仕上がっている。
人間の細胞は数年かけて全て入れ替わるという。自然(nature)に包含され、境目のない流動的な存在の様だ。そのように自身を認識できる瞬間は、体の力がすっと抜け、非常にリラックスした状態にある。本作の終わることのない音楽に身を預けているとそのような豊かな瞬間が訪れる。（店主）
#Ambient #Jazz
