現行のアンビエント・シーンを代表するLeaving Recordsより、また美しい作品が届いた。前作も当店では人気盤となった、LAを拠点とするGreen-House。来日公演も成功し、存在感の増す、今チェックすべき存在。
過去作「Six Songs For Invisible Gardens (’20)」から一貫して、植物を入り口とした自然そのものをモチーフとしている。それは、都市的な存在としての人間を必然的に対比させ、そのあり方を問うている。例えば、カセット作品に植物の種を封入するなど、そのコンセプチュアルな提示には興味深いものがある。そのように、Green-Houseは常に思想や哲学を作品の中心に据えてきた。そして、今作で焦点を当てたテーマは「ソラスタルジア(solastalgia)」。地球環境の危機がもたらす、人間の不安定な状態を意味する。このリスクに満ちた現在に対して、非常に真摯な姿勢だ。ある種、ニューエイジ・アーティストが昔から焦点を当てた「生命と自己」などのテーマを、見事に現代に翻訳したと言える。
サウンドは、シンセを軸にした穏やかで上品な音の運び、そして漂いながらも美しい線を残す旋律が印象的。作品を通して、過剰な起伏はなく、つるっと聴き通すことができる。(アンビエント作品にはとても重要なことだ。)こんなにも穏やかに安らかな音楽が、この現実に拮抗する強い力を持つとは。
(店主)
#Ambient #NewAge