新緑の香りと共にさらさらとした風が頬を撫でる。不意に訪れた午睡からふと目を覚ますと、通り過ぎた風の感触が微かに残っている。吉村弘の「GREEN」に耳を澄ませていると、そのような誰にも奪うことのできない、私たちのための時間がいかに尊いのかを認識する。
国産アンビエントが世界中から再評価されるきっかけとなった立役者の吉村弘。グラミーにもノミネートされた「Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990」を手がけたUSのレーベルLight in the Atticよりリリース。オリジナルは1986年、念願のリイシュー。YAMAHAのFMシンセサイザーを使ったミニマルな音像はこの作品のイメージを決定づけている。
吉村弘が「Music for Nine Post Cards(1982)」でデビューして以来、日本の加速度的な経済成長(とその崩壊)を警鐘するかように、ゆったりとした歩幅のような作品を着実に作り続けていたのだ。混沌とした世の中で氏の作品が再評価されること自体に大きな意味がある。私たちは時代にとって本当に必要な音に注意深く耳を澄ましていなければならない。(店主)
#Ambient #Minimal

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