国産アンビエントが世界中から再評価されるきっかけとなった中心人物、吉村弘。鎌倉の近代美術館で開催された吉村弘「風景の音 音の風景」は各所で話題となるなど、注目度はさらに高まる。本作は、Temporal Driftより正規リイシュー。グラミーにノミネートされた「Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, 〜」を手がけたLight in the Atticの傘下にあたる。
本作のオリジナルリリースは1986年。時間軸では彼の名作「Green」のリリースと同年にあたる。当時、住宅建築会社のミサワホームがブランディングの一貫で製作を依頼。音楽を「アメニティ」として定義したのだという。ある特定の空間を意識した音楽という意味では、環境音楽の美学をありのままに表現している。本作は、Soundscapeシリーズの第一弾に当たり、第二弾は広瀬豊の「Nova (’86)」が続いた。もちろん、この「Nova」も名盤として語り継がれている。
まろやかなハード・シンセが揺らぐ様は完璧に美しい。一切のノイズはなく、冗長な演出に意識が止まることもない。それらは、聞き手にストイックな姿勢を強要しない。イーノから受け継がれる、これぞ、クラシック。
(店主)
Ambient/ KankyoOngaku

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