井上薫の新作が登場。屋久島を主題にした雑誌企画で誕生したCD作品が、待望のLP化。重量盤。製作時よりLP化まで視野に入れた、サウンド・メイクであったという。本作は屋久島で採取した音を起点とし、環境音をより尊重した楽曲から、オーガニックなパーカッションが際立つ楽曲まで表情は豊かだ。
氏の屋久島でのField rec.はライフ・ワークと言えるのかもしれない。参加するFinal Dropでは、屋久島でのField rec.を使用した名盤「elements (’03)」を残している。その後、DEEP GROUNDからリリースの「Mimyo (’23)」でもその素材は使用される。
長い時間をかけて悠久の自然と向き合うこと。その自然という混沌から美を掴み取ること。芸術家としての深い洞察があってこそだ。その屋久島から生まれた音に耳を澄ましていると、焦燥感は和らぎ、意識は謙虚に環境に同化していく。
(店主)
Ambient/ Field rec.