ニューヨークのKelly Moran。数量限定のクリア盤。ピアノの古典的な技法を素地としながら、前衛的なアプローチに挑み、現代音楽において存在感を示す。OPN/ FKA Twigs/ Yves Tumorらと共演するなど、古典と前衛を橋渡しする重要な存在だ。レーベルはなんと、あのWarpから。本作ではコンセプチュアルに、「自動演奏ピアノ」を使用している。作者が演奏する傍で、身体の許容範囲を超えた技法(高速のアルペジオ、10以上の和音など)である種のデュエットを実現している。ここで重要なのは、巷に溢れた人/機械などといった単純な対比ではない。新しい道具の導入で、作者のイマジネーションがどのように応えているかだ。既存の音の規範から逸脱しながら、いかに聴者の情緒に触れているか。本作での実現は非常に有意義だ。
(店主)
Ambient/ ModernClassical