Koji Nakamura/ermhoi – I’m listening [CD]

¥2,970

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元スーパーカー、ナカコーことKoji Nakamura。もう一人、Black Boboi/ millennium paradeで活躍するermhoi。その二人によるスプリット盤「I‘m Listening」がCDの限定リリース。本作の軸になっているのは青森と渋谷でのフィールドレコーディング。前半6曲はKoji Nakamuraが青森で、後半8曲はermhoiが渋谷で録音した素材を、アイデアの源泉として作品に昇華している。

Koji Nakamuraは2010年代初期よりMerzbowやDuennと共に、Abstract/ Experimentalなアンビエント作品を残してきた。今回のフィールドレコーディングは、作者のルーツでもある青森にて。その素材をコラージュやラーガとして、はたまたサウンドスケープやテクノ・ビートとして作品に転化させている。Hardcore Ambienceなどのプロジェクトを通過する過程で、本作はその抽象性、実験性という側面では地続きである。その一方で、全体の仕立ては、session/ live/ installation としての形式に重きを置くHardcore Ambienceとは異なり独立している。本作で特に印象的な点は、音一つ一つの美しい質感にある。自然の音や都市の音はそのリアリティが大切にされながら、創造的な脚色を経て混じり合い、豊かな抽象世界を描いている。そして、前衛的な響きを持ちながら、不快ではなく至上の快を得ること。音の響きを突き詰めてきた作者のキャリアが為す技だろう。

ermhoi はExperimentalなアティテュードで、Black BoboiとしてFUJI ROCK/ FFKTへ参加するなど、その活躍に注目が集まる。Black Boboiを通して見え隠れする芸術的な高みは、本作では音の自由度が幾分高く、より直接的に楽しむことができる。また、Black Boboiや millennium paradeの演出では前面に出ない、より個人的で内面的な側面を本作では垣間見ることができる。その内面性を描く術は見事で、歪んだ音は暴力的ではなくむしろ恍惚的。不規則なビートが不安を煽ることはなく、むしろ創造的な高揚を生む。十分な余白は、空疎でなく豊かな余韻を孕んでいる。作者のむき出しの芸術が溢れ出ている。

マスタリングはROVOの益子樹。アートワークはイラストレーターの三好愛。

あらゆる街は、様々な人々の営みの集合として成立している。私的な記憶の集合と言い換えてもいい。その街を無意識にラベリング、というより乱暴に抽象化してしまうのが人なのだが、実際は多様な人の、多様な人生が染み付いている。作者らが行った、街に対する鋭い観察とその美しい編集によって、ありありとその個性が浮き彫りになっている。

(店主)

#Ambient #Abstract #Experimental