テクノ/ ハウス・シーンにおいて’90 以降、Ricardo Villalobosと並び、最高峰のDJと評されるレジェンド、Luciano。色彩が豊かで情熱的なメロディ、ミニマルなビートは彼の得意とするところだ。そのLucianoがなんとmule musiqからアンビエント作品をリリース。
2LPの両面は60分程の楽曲を4つに分けたものと捉えていい。その壮大な楽曲で印象的な点は、遠くで聴こえるように漂う、ラテンのニュアンス。また、Lucianoらしいタイトなビート（いや、むしろクリックに近い。）と共に、脈拍を確かめるよう注意深く、時間は流れる。その抽象的でメディテーティブなうわものと、それらを額縁に入れるように支えるビートとの対比が、この作品の最大の魅力だ。なぜだろう、60分という長い時間を持て余すようなことは一切ない。一見、同様のモチーフの連続に伺えるのだが、そこが卓越したセンスのなす技なのだろう。下品な展開や脚色はこの世界には一切不要なのだ。フロアユースでありながら、耽美的なリスニングにも耐えうる名作だ。
(店主)
#Ambient #DeepHouse
