アンビエント/ ビート・ミュージックを軸とする、冥丁。Pitchforkの「Best Experimental Albums」への選出など、国内外で賞賛を受け、アンビエント・シーンに冥丁の名を確立した。ノスタルジックなサンプリング、ヒップホップ文脈のコラージュ。それらが要素として滲みながらも、軸にある固有の世界観が特出している。作者がシーンに大きな扉を開けたことは間違えない。
本作は、過去作「怪談 (’18)」「小町 (’19)」と地続きで、2020年から続く「古風」シリーズ三部作の二作目。作者が得意とする、土着的でLo-Fiなサンプリング、気持ちよく揺れるヒップホップ・ビートは今作でも健在。後に続く「古風 Ⅲ (’23)」と比較すると、より軽妙でアクティブな表現が際立つ。親しみやすいサンプリングによるメロ。丁寧に上質なポスト・クラシカルなピアノの彩り。要所で効くグルーヴィーなビート。パズルの組み合わせのような単純なサンプリング・ビートとは全く異なる。名シリーズ。
(店主)
Ambient/ Modern Classical/ Lo-Fi