UKのジャズ・サックス奏者、Miles Spilsburyが堂々のデビュー作をリリース。レーベルはRush Hour傘下のNew Dawnより。パーカッションでは全曲通してCarlos Niñoがクレジット。煌びやかで浮遊感のあるレイヤーはスピリチュアル・ジャズの重鎮、Carlos Niñoの手腕によるものだろう。プロデュースはNinja Tuneに常連のSlugabedが務めた。
まずA1「Cloud Formations」の幕開けで今作が名盤になると確信した。Carlos Niño 印の、香るように広がる、淡いレイヤーが続く中、Miles Spilsburyのサックスがミストを晴らすように、清々しくぐうっと伸びていく。A3「Light Theme」でも同様に親しみやすいメロディは、即興の躍動感があり、最も印象に残る点だ。その一方で、本作の表現の幅は広い。豊かに厚いコーラスワークがA4「Cyclamen」では映えているし、B1「Water On Water」では可憐にしっとりとアコースティック・ピアノで仕立てられている。どっしりとゆったりと、そして華やかに進むB3「Uig」もいいアクセントになっている。また、モダン・クラシカルの要素もあるB4「En-Vau」で幕を閉じるなど去り際まで完璧に美しい。
(店主)
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