70年代後半より活躍するベーシスト、濱瀬元彦。ジャズ・バンドとして清水靖晃、鈴木勲らと多くの作品を残してきた。Jaco Pastoriusも濱瀬のフレットレス・ベースの腕を高く評価していたという。80年代後半からアンビエントに傾倒し、ソロ作品を5枚残す。濱瀬はその独自の音楽理論についても情熱を注ぎ、多くの著書を残している。
本作のオリジナルは1986年。なんと濱瀬本人の再録で新たにリリース。(権利の都合上、リイシューではない。)海外からの人気も非常に高く、中古市場では入手困難な一枚。いわゆる「国産アンビエント」を代表する一枚と言っても違和感はないだろう。
ライヒ的なミニマルな反復が小気味よく、本作を象徴する一面だ。(ベーシストから生み出されたフレーズというのが興味深い。)テクノ・ミュージシャンがライヒをフォローした理由でもある、ある種の陶酔的な高揚とは距離を置き、軽やかさや親しみやすさ、しなやかさといった別の側面に軸足を置いている。それらの要素がもたらす印象は、洗練された都会の営みのように端的だ。また、本作の柱となっている、スムースなフレットレス・ベースの、乱れ咲くような描画が前衛性と躍動感をエッセンスとして加えている。
(店主)
Ambient/ Jazz

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