アイスランド出身、ポストクラシカルを代表する、Ólafur Arnalds(オーラヴル・アルナルズ)。坂本龍一、シガー・ロスのサポートを務めるなど、音楽家からの信頼も厚い。2000年代前半はErased Tapesより諸作をリリース。同時代的に活躍するNils Frahmと共演するなど、シーンを盛り上げてきた。2010年代後半以降はMercury KXで諸作をリリースするなどメジャーな活動へ移行している。ただそこに、作風を大味に変更するようなことはなく、確固たる軸を中心に据えながら着々と実績を積んでいる。
本作は自身のヒット・アルバム「Some kind of peace (’20)」をほぼピアノのみでリワーク。まず共演が豪華。Hania Rani, Lambert, Alfa Mistなどシーンを代表する人物ばかり。
ソースとなった先述の「Some kind of peace」はBonoboが参加するなど、より目鼻立ちのはっきりとしたエレクトロニクスやオーケストラレーションが印象的。その一方で、本作はアルナルズのピアニストとしての一面に焦点を当てている。作品は一貫してアコースティック・ピアノを用い、原曲の核を丁寧に捉えて行く。ピアノの盤を叩く音が聴こえるなど丁寧な録音だ。また、Hania Raniのウィスパー・ヴォイスが加わるなど、より抽象的で内面的な印象を与える。その佇まいは、フラジャイルでありながら虚弱ではない、ミニマルでありながら華がある。
180g重量盤。
(店主)
#Ambient #ModernClassical