Sam Wilkes がシーンへもたらす大きな影響力をどう表現しよう。FRUE への出演、Sam Gendel/ Knower/ Louis Coleとの共演、諸作のヒット・・・。アンビエント・ジャズという大きなうねりの中心にいながら、インプロビゼーションというスタイルを受け継ぎ、現代に馴染ませているという意味合いでも功績は大きい。ルーツとしてはJohn Coltrane/ Pharoah Sanders /Carlos Nino 等だろうか。本作が、John Coltrane「Welcome」のカバーから始まる点も象徴的だ。しかし、それら先人の系譜が滲みつつも、作者の楽曲が持つ固有の美しさは、あらゆる既存のカテゴライズを必要としない。
’18, ’21にリリースされた Sam Gendelとの共同クレジット・シリーズ「MUSIC FOR ~」や、Jacob Mannとの共作「Perform The Compositions 〜 (’22)」など、毎回リリースを成功させ、徐々に知名度を上げる。プライベートレーベルからリリースされた最新作「DRIVING (’23)」も素晴らしいが、今回は久しぶりに再発された「Wilkes (’19)」にあえて焦点を当てる。最新作はLeaving RecordsやSam Gendelと築いてきたキャリアとは少し毛色が異なり、目鼻立ちのはっきりとした歌唱やビート、インディーロックを思わせる質感が印象的。その一方で本作「Wilkes」は、より抽象的で即興性の高い、’18~’22の作品群に近しい。
本作は共演が豪華。まず、作品を通してサックスで参加するSam Gendel。作者の彼への信頼は言わずもがな。そして、Brainfeederからリリースする、Louis Cole。また、Brian Greenは「Music For Home (’21)」が非常に良作だった。それらをSam Wilkesが見事にオーケストラレーションする。独立したアルバム作品の中でリーダーとなるのは初めて。
1曲だけ挙げるとするならば、最終トラックの「Descending」だろうか。抽象的な音像を生み出す、幾重にも折り重なる楽器群や、多層的なコーラス。それらがあまりにも美しいモチーフを構成し、ループする。その繰り返しに飽きることはなく、むしろ徐々に熱を帯びる。この幻想的に美しい夢が、いつまでも続いて欲しいとさえ思う。
(店主)
Ambient/ Jazz

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