登る朝日が、穏やかに波打つ小舟の帆先を照らす。その陰影が大海に揺れる。ああ、日々はなんて美しいのだろう。この作品に身を委ねていると、そのような美しいイマジネーションが体を満たす。
Seiji Kokeguchiはヘルシンキ在住の音楽家。当作は同国のレーベルPOST-RIFTよりリリース。メディアアート作品の制作などを経て生まれた様々な音を一つのアルバム作品として完成させた。
フィンランドの豊かな自然でのフィールドレコーディング、Max/MSPやモジュラーシンセを用いたアプローチ等、様々なメソッドが散りばめられていながらも、根底にあるフィロソフィーとそれを映し出すサウンドスケープは作品を通し一貫している。
LPに加えカセットを付属。
音像としてLoscil, Chihei Hatakeyamaなどを引き合いに出すのは容易。しかし、この作品の中核にあるのは、坂本龍一「out of noise」以降のような精神性なのではないか。
坂本龍一がまだラジオで喋っていたらきっとレコメンドしたんじゃないかな。(店主)
#Ambient #Minimal