Fabiano do Nascimentoの魅力的なリリースが続く。Leaving Recordsからリリースされた前作「Das Nuvens (’23)」の評価は高く、当店でも人気盤。来日公演を成功させるなど彼に対する視線は熱い。母国ブラジルのルーツ・ミュージックを下敷きにしながら、前衛的なスタイルかつ、親しみを持てるメロは前作と地続きだ。多弦ギター、バリトン・ギター、シンセ、表現の幅は前作より幾分広がっている。ブラジルの偉大なギタリスト、アルトゥール・ヴェロカイや、新進気鋭のSam Gendelと共演するなど共演の幅も広く、彼の引き出しの多さ、寛容さ、感覚の鋭さが伺える。
本作について。わずかな共演がいるものの独奏、即興のスタイルは変わっていない。奥ゆかしさと華やかさを持ち合わせながら、奥に潜む陶酔感に触れた時、意識が持っていかれそうになる。ニューエイジ/ ジャズの側面はPat Methenyを引き合いに出すのが有効か。ジャズ・ギターの静謐さはRalph Townerのニュアンスもあるかもしれない。また近年、彼と接近しているSam Gendelのように自由度や抽象度が高い。煌びやかな精神世界はCarlos Ninoとも言える。ただ、それらの引用とは離れたところで、彼の確固としたオリジナリティが如実に露出している。そういった意味でも近年のアンビエント・ジャズ、アンビエント・フォークのシーンに本作が与える意味は大きい。
(店主)
Ambient/ Jazz/ Folk

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