ジャズに新たな風を送り込む名門レーベル、Gondwana Recordsはアンビエントとジャズの合流地点にいるシーンの震源地だ。過去の様式を尊敬しつつ、枠組みを常に越えようとする探究心はレーベルの揺るがない柱になっている。そのGondwana Recordsから2023年のリリース。
彫刻家、Alberto Giacomettiのドキュメンタリー映画からサウンド・トラックを抜粋して収録した。Giacometti が誕生したスイスに数ヶ月の間移住し、圧倒的な雪山に囲まれ楽曲制作に勤しんだという。春の息吹と共に谷を去るまで、自分自身やGiacomettiの人生に真摯に向き合った。
サウンド・トラックの機能的な側面だけで本作を位置付けるのは難しい。作者が根幹に持つテーマや作家性が代表作「Esja (’19)」と地続きであり、作者も愛したGiacomettiの生き方にそのイメージを投影している。また、ある意味では劇伴というフォーマットが、独立した作品性から作者を解放し、豊かな余韻、自由な時間の移ろいを本作にもたらしている。
(店主)
#Ambient #ModernClassical
