必要十分にリバーブのかかったギターを主軸に、抽象的なヴォーカルがささやかなアクセントとして展開する。それらが伸びやかな線を引く様は、季節を巡る渡り鳥の隊列のように華麗だ。そして、その線の先にある完璧なまでの余白は、隊列が休息する湖畔のように美しい。
Jonny Nashが自身のレーベルMelody As Truthよりリリース。前作「Make A Wilderness（’19）」から実に4年ぶりのソロ作品。Jonny Nashはレーベルの主宰だけでなく、Gigi Masin/ Young Marco と共にGaussian Curve として活動するなどシーンを代表する存在。
Teguh Permanaとの共作「Poe (’20)」やAna Stampとの共作「There Up, Behind the Moon（’21）」では既存の枠組みを脱する試みが目立った。本作では「Exit Strategies(’15)」への手法の原点回帰、かつその路線の延長線上にある新たな位相への転換を印象として受ける。洗練されたギターのリバーブ感はより研ぎ澄まされており、「Make A Wilderness（’19）」と比較しても澄み切った景色は実に広大だ。
A5「Light From Three Sides」B2「Ditto」ではコーネリアスもフェイバリットに挙げるサックス奏者Joseph Shabasonがクレジット。マスタリングは安心のクオリティのStephan Mathieu。オリジナルリリース、500 Limited の貴重な一枚。
（店主）
#Ambient #Minimal #Balearic
