過剰な情緒的表現を省いたデザイン性の高さが、エリック・サティを描写する数多の作品の中でも際立っている。その完璧なまでに洗練された音の配置は、モダンなモニュメントを眺めているようにうっとりとする。
芦川聡がキュレーションした「Wave Notation（波の記譜法）」の第三弾にして最終作がWRWTFWW Recordsより貴重なリイシュー。オリジナルリリースは1984年。芦川聡「Still Way (’82)」、吉村弘「Music For Nine Postcards(’82)」に続く形で「Wave Notation」としてリリースされた。エリック・サティの各曲を柴野さつきの視点で再解釈されたピアノ独奏作品。
エリック・サティの「家具の音楽」という哲学はブライアンイーノやジョン・ケージにも多大な影響を与えた。「Vexations」などモチーフを繰り返すアプローチはスティーヴ・ライヒにも影響を与えている。また、清らかな美しい旋律は坂本龍一の血肉にもなっていた。そう言った意味でも日本の環境音楽的視点でエリック・サティをなぞることは非常に興味深い。リイシューの監修は80年代より日本の環境音楽を支えてきた尾島由郎。
(店主)
#Ambient #Classic
